こんにちは、稲葉歯科医院の歯科医師の小西浩介です。
2019年3月9日より9日間にわたるドイツに研修に来ていますので、現地より今回のドイツ研修をダイジェストでご報告させていただければと思います。
そもそものドイツ研修のきっかけとなった経緯は、2年に1度開催されるIDS(International Dental Show)に一度は参加してみたいというのがきっかけでした。
そして、ドイツに行くのであれば、本場ドイツのテレスコープシステムや、最前線のインプラント治療などの最新の歯科医療の研修を受けたいと思い、ハイデルベルグ大学病院に研修を受けにいくことにしました。
ドイツ研修にあたり、新婚の使命として妻を連れて行こうかと思いましたが、自分に厳しくするため、一人でドイツに渡航することにしました(笑)
まずは、日本からフランクフルト空港までの12時間の飛行機の長旅から始まりました。
機内では、チャンスがあればドイツの先生方に自分が行なっている症例を見ていただき、ディスカッションをするために、英語でのプレゼンテーションを作り何度も見返していたため、映画を1本も見ることなく過ごしあっという間の12時間でした。
フランクフルト空港に降り立ち、慣れないドイツの電車を乗り継ぎで1時間でハイデルベルグに到着しました。
ハイデルベルグ大学病院に研修する前日には自分のご褒美として、少し観光する時間を作りました。
お決まりのハイデルベルグ城を見に行ったり、ドイツならではの街並みに感動しながら楽しいひと時を過ごすことができました。
そして、ドイツらしい料理ということでソーセージを食べて、次の日の研修に備え、時差ボケを解消するために早めに就寝しました。
そして、いよいよハイデルベルグ大学病院での研修です。
ハイデルベルグ大学は1386年に設立したドイツ最古の総合大学で、歯科においてはその長い歴史によって積み重ねられた臨床研究や基礎研究の多さ、そして最新の歯科医療を行なっていることから、海外から多くの歯科医師や留学生が集まってきています。
今回、日本の東京歯科大学附属病院の補綴学講座の田坂先生が客員教授としてハイデルベルグ大学にご留学されているということから、田坂先生にアポイントをとり今回の研修が特別に可能となりました。
田坂先生はハイデルベルグ大学にて現地の歯科医師や歯科技工士、そしてエンジニアとともにテレスコープの内外冠の新しい材料を用いた臨床および基礎研究を行なっており、その内容も大変素晴らしいものでした。
そして、田坂先生に病院や診療のご案内をしていただきました。
診療機器や技工機器は日本では見たこともない最新の機器を揃えて、臨床および研究の環境が整っていることを肌で感じました。
また、今回私の密かな目的でした、ハイデルベルグ大学の先生方に症例を見てもらいたいということで、若くして多くの臨床そして30以上の論文を世界に発信しているDr.F.Sebastian.Schwindling(通称:セバスチャン)に自分の症例を見てディスカッションしたいと時間をつくってもらうことができました。
そして、嬉しいことにとても素晴らしい治療をしているとお褒めのお言葉をいただき、逆にそれはどのような治療方法でやっているのか、そのエビデンスは何なのかと質問をしてくださいました。
ちなみにこの写真はセバスチャンと持参したパソコンで見ながらディスカッションしている様子ですが、ハイデルベルグ大学用のドイツ人向きの大きな白衣を貸していただいている私と私服に着替えたセバスチャンですが、立場が反対にみえると笑っていました(笑)
そして、セバスチャンから私の症例も見ながらディスカッションをしようと様々な症例でお話をすることができました。
非常に素晴らしい治療技術、最新の知見や、技工技術、そしてドイツならではの合理的な考えにとても感銘を受けました。
正直、専門用語を含め英語の会話が難しいところもありましたが、計1時間程、2人でお話しすることができました。海外の先生と意見交換することで、今まで思いつきもしなかったことや、ドイツの歯科医療の考え方にふれることができました。
セバスチャンとは同じ年代ということもあり、今後もメールで意見交換をしようということで素晴らしいご縁をいただくことができました。
そして、主任教授のProf.Dr.P.Rammelsberg(通称:ランメルスベルグ教授)にご挨拶をすることができました。日本であれば、遠慮がちであまり自分の意見は言わないようにしている私ですが、稲葉繁先生に海外では必ず、自分はこう思うけどあなたならどう思うかという風に自己主張をしなければ相手にされない、ということを常日頃教わっていました。
そのため、ご挨拶したその流れで、どうしてもお話しをしたいということを私自ら訴え、セバスチャンに行ったようにディスカッションを行うことができました。
ランメルスベルグ教授はテレスコープやインプラント、ジルコニア等の多岐にわたる臨床および基礎研究の権威であり、とても緊張してプレゼンテーションしましたが、君の考えは基本的な補綴の設計が素晴らしい、とても古典的なドイツの文献を引用しているがとても合理的で私も同じ設計をするといったことをおっしゃっていただきました。それに加えて、最近ではこのような考え方もあるという風にご指導していただきました。
そして、君は今日は時間はあるのか、私の診療を見ていくかとまさかのお誘いをいただき、ランメルスベルグ教授の臨床見学を行うことができました。一緒にいてくださっていた田坂先生もこんな展開は今までにないと驚かれご一緒していただきました。
ランメルスベルグ教授の非常にレベルの高い、かつ最新の治療を目の当たりにしてとても感動しました。そして何より感動したことは、稲葉繁先生から教わったドイツのテレスコープシステム(リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、コーヌスクローネ)などを多くされていたことです。
このレポートでは、ランメルスベルグ教授の許可を得て撮影させていただいた写真は患者情報もあるため、皆様にご覧いただくことはできないのですが、大変素晴らしい技術でした。
朝8時から夕方5時までの短い時間ではありましたが、自分の歯科医師人生にとても大きな影響を与えていただいた1日でした。
これも、田坂先生に研修を引き受けてくださったおかげであり、日頃より何でも積極的に取り組む大切さ、そして権威のある先生に対しても、ただ一方的に教わるのではなく、自分の考えていることをしっかりと伝え、意見交換をするつもりでいなさいという稲葉繁先生の教えのおかげに尽きます。
何より、稲葉繁先生がドイツのチュービンゲン大学に客員教授として行かれ、そして日本に持ち帰った技術は驚くほど本場ドイツのそのままであったことには何度も感動致しました。
この研修を今後の臨床に活かし、患者様に貢献できればと思います。
ハイデルベルグを出発し、次の日からは、いよいよケルンでIDSに参加しますので、次のレポートでご報告させていただければと思います。